ゾーンに入るには、特別な能力を持つ人でなければできなさそうな、 もしくは類まれな努力で会得するようなイメージがありますよね。
しかしゾーンという極限の集中状態はそんなにめずらしいものではありません。どんな人でもゾーンに入ることは可能です。
今回はゾーンの入り方についてみていきましょう。
目次
誰でもゾーンを体験している
ゾーンに入るという経験はまったく珍しいことではなく、誰しも経験したことがあるものなんです。
- 友達とサッカーをして気が付いたら夕方になっていた
- ゲームに夢中であっという間に3時間経っていた
- 夜通しおしゃべりに熱中していたら朝日が昇っていた
このように「あっという間に時間が経った」という経験は誰しもあるのではないでしょうか?
この状態がいわゆる「ゾーンに入った」と言われるものです。
思い返してみるといくつも思い当たることがあると思います。
緊張状態のことではない
緊張している状態のことを”集中している”と考えてしまう人がいると思いますがこれは間違い。
たしかに緊張している状態というのは今もしくはこれから直面することに対して集中しているように感じますが、最高のパフォーマンスを発揮できる極限の集中状態”ゾーン”に入っているわけではないのです。
極限の集中状態というのは集中しながらも脳がリラックスしている状態のこと。
時間が”あったという間”に過ぎた経験はきっと緊張していなかったはずです。
リラックスしていて、それでいてなんの雑念もなく一つのことに集中していたと思います。
緊張しているときは、不安やプレッシャーといった雑念が多く集中しきれているとは言えないんですね。
ゾーンは脳にとって快楽
ゾーンに入った時のことを思い返すと感情的にプラスの体験がほとんどなのではないでしょうか?
「夢中で楽しく遊んだ」
「共通の趣味の話題で盛り上がり充実した時間だった」
このように「楽しかったな~」「充実していたな」「満足のいく時間だった」と感じる体験だったはずです。
こういったポジティブな感覚は脳にとっての『報酬』
喜びや幸せを感じることで脳はリラックスし集中力はよりその物事に対し働くんです。
では勉強のように大変な思いをするものではゾーンに入れないのでしょうか?
勉強ではゾーンに入れないのか?
そんなことはありません。
確かに勉強そのものが好きな人であればゾーンに入るのは容易いです。
そういった人たちはどんどん物事が上達していくので「生まれ持った才能」のように感じてしまいますが、勉強が苦手・嫌いだという人でもゾーンに入ることは可能です。
誰しも1度は勉強に集中できた経験があるはず。
「そんな経験はない!!」と言いたい方もいると思いますが10分や20分、いえたった1分だけでもです。
勉強を始める前にその最中に感じていた「めんどくさい」「退屈だ」「やりたくない」という感情が消えた瞬間があるはずです。
好きではない楽しいと感じない勉強でも、マイナスの感情が消えて勉強に向かっている瞬間というのは脳にとって報酬になっています。
この雑念が消えて、脳がリラックスした集中状態”ゾーン”を1分の人は5分10分と、30分の人は1時間と継続できる時間を延ばしていくことが肝心。
ではここからゾーンの入り方、またその時間を延ばすための方法を見ていきましょう。
ゾーンの入り方
とにかくまずは取り掛かる
集中できない人の多くが「めんどくさい」「やりたくない」といった雑念に頭を支配され、他事をしてしまったり気が散って別のことに気を取られたりして、そもそも勉強に取り掛かることすらできないでいます。
まずはなにより手を付けること取り掛かってみること、始めてみれば作業興奮により次々やっていけるはずです。
そもそも集中状態を作り出すのも訓練です。
最初は1分2分と短い集中状態でも、繰り返し取り組み、作り出すことで徐々に集中できる時間が伸びていきます。
「20分しか集中できない・・・私はダメだな」と嘆くのではなく、今の自分は20分集中できることを理解し、20分集中する体験を繰り返し1時間、2時間と集中できる脳を作っていきましょう。
逆に集中状態を全く作らないでいるとどんどん衰えていき、集中時間は短くなっていってしまいます。
だからこそ何よりもまずは取り掛かることから始める必要があるのです。
やらない期間が続けばそれだけ苦しくなります。
今から自分のやるべきことにちょっとでもいいので手を付けてみてください。
「やれって言われたから」「宿題で出されたから」といった受け身でやるのではなく「自分は英語が苦手だから強化する」「今日のおさらいのために宿題をする」と主体的に取り組んでみましょう。
それだけで脳が成長しやすくなり思考力がつきますよ。
断捨離をする
「勉強を始めようとするとついつい部屋の掃除を始めてしまう・・・」
なんてあるあるを良く聞きますが、あながち間違った行動でもありません。
人は自分にとって気が散る要素があると集中できないもの。
自分の身の回りの環境で気を削いでしまうものがあれば排除する必要があります。
より具体的にいえば
「自分の感情が動いてしまうもの」
「自分の応対が必要なもの」
例えば好きな音楽。
勉強中に好きな音楽をかけている人も多いと思いますが実は集中するためには良くないのです。
好きな音楽というのはつい耳がそちらに集中してしまいますし、歌詞やリズムに体の意識を持っていかれがち。
リラックスできるとは思いますが意識を分散してはいけません。
かけるなら自分にとって可もなく不可もない音楽がいいですね。
聞きながらもその音楽の存在を忘れられるようなものです。
そして応対が必要なものの例は「喋りかけてくる友達」が分かりやすいでしょうか。
当たり前ですが勉強の最中に喋りかけられてはたまったもんじゃありませんよね。
しかも無視するわけにもいかないし返事をして相手の応対をしなければいけません。
あとは電話もそうですね。
電話がかかってきたらそこで集中状態を切られてしまいますから、できれば電話のかかってこない状態、部屋にいるのがいいですね。
勉強をする時は電源を切る、さらに言えば目に見えないところに置いておくといいですよ。私はPCで作業するときはスマホを布団に投げ込んでおきます。
上記のような自分の気を散らせるものがあれば片づけてしまいましょう。
部屋の掃除をすることでその後集中しやすくなるのなら万々歳です。
適度なノイズは集中力を上げる
自分の気を削ぐものは排除するべき・・・といった後に逆のことを言うようですが、適度なノイズがあることで集中力を上げることができます。
人は全くの無音だと逆に集中できないようになっています。
というのも無音というのは自然界においては不自然な状態であり、無音状態だとある種の危機意識が働いてしまうからだといわれています。
静寂に包まれた自分の部屋より、人がガヤガヤしているカフェで勉強をする方が捗るのはそのためなんですね。
簡単に適度なノイズを作り出すには環境音系の音源を聴くのが手軽で効果的です。
自然の環境音は音楽ほど意識を持っていかれませんし、脳のリラックスした状態を作り出せますよ。
脳に報酬を与える
脳に報酬を与えるというのは「自分で自分を褒める」ことです。
誰かに褒められたり賞を取ったりするだけじゃなく自分で自分をほめることでも脳は喜びドーパミンが出るものなんです。
最初は簡単な目標を設定し達成できるたびに褒めるのです。
例えば「30分本を読む」というだけでもOKです。
30分しっかり本を読めたら「設定した目標をちゃんとこなせた自分偉い!!」とほめてあげてください。
間違っても「こんな低い目標設定でしかできないなんて・・・」とか考えちゃだめですよ!
ただし毎回手放しでほ褒めるばかりではいけません、時にはダメだしをすることで褒めた時の効果がより増すのです。
「ここはもう少し上手くできたな」
「いつもより集中できていなかったな」
という時はしっかり認識し次に生かしましょう。
つまりは自分に対し客観的な視点を持ちつつ、適度にご褒美をあげるのが大切なんです。
習慣づけることで集中力がどんどん増していきますよ。
1分間集中法
作業に取り掛かり始めた瞬間から1分間だけ自分のトップスピードで集中して取り組む方法です。
最初は難しいかもしれませんがだんだんと回数をこなすことで集中するための脳回路が育ってきます。
「まず取り掛かる」の項でも書きましたが、実践すれば実践しただけ脳の集中力というのは増すものなのです。
- 1分間全力で2つ3つだけでも英単語を覚える
- 本の最初の数行だけ集中して読む
- 1分間に1つだけアイデアを出す
など試してみてください。
やってみると1分間でできること多さ、1分間の重要性にも気づけますよ。
最後に
ゾーンに入ることは誰でもできますが、その極限の集中状態を長く続けるには一朝一夕では難しいものがあります。
今から1分でも良いので「集中する!」という時間を設け、脳の集中回路を鍛えることを始めてみてください。
続けているうちに勉強が長続きしない自分とさよならできますよ!
参考文献:茂木健一郎(2014)『この法則でゾーンに入れる!-集中「脳」のつくり方』朝日出版社
アイドルや二次元の推しについて調べたり創作したりしている時はものすごい集中状態になっているのはないでしょうか?