山椒の育て方は他の植物に比べて難易度が高く、ちょっとしたことで簡単に枯れてしまうことがあります。
自宅で栽培するには地植えと鉢植えの2通りの育て方があるのですが、地植えの場合山椒の好みに合わない土地だと全く育たないことがあるので、管理もしやすく条件を揃えやすい鉢植えでの山椒の育て方を解説していきたいと思います。
目次
山椒の育て方
土づくり
山椒を育てるには事前の準備が大切です。
まずは山椒を育てるための土づくりから始めましょう。
山椒はちょっとした土の変化で簡単に枯れてしまうので2週間前から土作りに取り掛かり、良く馴染んだ土を用意します。
用意する土の割合を書きますね。
- 腐葉土
- ピートモス
- 肥沃度
- パーライト
上から4:2:1:1の割合になるように用意します。
そして肥料
- 苦土石灰
- 木灰
- 鶏ふん(発酵したもの)
- 油粕
全て50gずつ用意し、上記の土のよく混ぜ合わせます。
3~4日に1回切り返してよく馴染ませましょう。
2週間したら土は完成です。
市販の赤玉土と腐葉土を混ぜたものでも良いですが、上記の作り方の方が山椒にとってちょうどよい酸性になりますし、保水性・水はけ・通気性も良いのでおすすめです。
これとは別に事前に用意しておくものがあります。
- ボラ土(ヒュウガ土)
- ミズゴケ
- 鉢床ネット
用途は後述しますね。
鉢植えを用意する
土づくりと並行して鉢植えも用意します。
山椒を栽培して収穫も楽しみたいならある程度の大きさの鉢が必要です。
収量も確保するなら直径45㎝、高さ35~40㎝程度の大きめの鉢がおすすめです。
それからプラスチックのものではなく”素焼き鉢”を選びましょう。
素焼き鉢の表面には目に見えない小さな穴が開いており、この穴のおかげで通気性・吸水性・排水性に優れているので山椒を育てるのに向いています。
土は乾燥しなくて常に湿っていながらもしっかり排水する必要があるんです。それと通気性が良い所を好みます。
後から鉢植えの大きさを替えることは難しいので始めが肝心ですよ。
山椒の苗を手に入れる
準備ができたらいよいよ山椒のお迎えです。
種からの栽培は難易度が高く、収量も安定しない可能性が大きいので苗木の購入をおすすめします。
苗木は1株1,000~2,000円程度で購入できるますよ。
お近くで見つからなければネットでも売ってますので簡単に見つかりますよ。
山椒の優良株や、1年生育した苗木などはもう少し高く6,000円~10,000円程度することがあります。
高いですがその分枯れにくく実もしっかりなりますのでどれを買うかはお好みで。
この記事では小さな苗木を買ったという想定で解説していきますね。
さて肝心なのは山椒の種類です。
自宅で栽培する場合は「朝倉山椒」「ぶどう山椒」を選びましょう。
本来山椒は雌雄異株であり、雄の山椒と雌の山椒の2株育てないと実が成らないのですが、「朝倉山椒」「ぶどう山椒」は栽培用に品種改良され雌雄同株になっており1本だけでも実が成ります。
また「朝倉山椒」は他の山椒と違ってトゲもないので管理しやすいのも特徴です。
植付け
苗木を用意したら”植付け”をしていきましょう。
- 素焼き鉢の底に鉢床ネットを敷きボラ土を3~4㎝ほど入れる
ボラ土は通気性と水はけを良くします。 - 作った土を入れていきます。
- 苗木の接ぎ木部分が見え隠れする程度に土を盛る
- 土は鉢よりも5㎝ほど高くなるように盛る。
中央が5㎝高くなるイメージ。 - 支柱を立てて、山椒の苗木を軽く固定する。
- 土の上をミズゴケで覆う。(細かく切ったワラでも可)
- たっぷり水を撒く
ミズゴケを使い土を覆うことで、土が固まってしまったり乾燥したりすることを防ぐ。
山椒の鉢の置き場所
鉢に植えた山椒の育て方は、基本室外の直接雨の当たらない軒下できちんと日光が当たるところであればOKです。
冬から春にかけての寒い時期、特に夜間に霜がおりるような時期は山椒が霜害にやられる恐れがあるので鉢植えを室内に移動する方がいいですね。
室内で育てる期間は通気性が良く日光のしっかり当たる場所に置いてあげましょう。
山椒の毎日の管理
山椒の育て方はとてもデリケート。
鉢植えは管理しやすいですが土が乾きやすいので常に注意し水をあげる必要があります。
特に土の乾きやすい春・夏はこまめに水をあげましょう。
ただし梅雨は水はけが悪くなり酸素不足に陥ることがあるので水のやりすぎには注意です。
水はけが悪くなっていないかよく観察してくださいね。
冬場はまた違って、水やりは午前中のちょっと温かくなった時間に済ませましょう。
最近は冬でも暖かい日が多いですが、午後に水をやると夜になってから凍り山椒が枯れてしまう恐れがあるので気を付けてください。
山椒の剪定
山椒は落葉低木ですが3mから大きいものだと5mほどの高さまで成長します。
鉢植えでそこまでの大きさは管理できないので、だいたい高さ1m・横幅1mようになるよう樹形を整えましょう。
剪定する時期は11月~12月のまだ寒すぎない頃がおすすめです。
1~2月に入って本格的に寒い時期に剪定すると切った部分が治癒しにくく、枯れ枝になってしまう可能性があるんです。
山椒の収穫
山椒の木は6年間の幼木期を経て成木になります。
山椒の育て方が一番難しいのは最初の1年で、特に枯れやすく管理が大変です。
さて山椒の収穫ですが育て始めて3年目から実をつけ始めます。
ただし3年目は少し実が成る程度なので収穫は微々たるもの。
3年目は収穫したい気持ちをぐっとこらえて摘花することで、4年目にたくさんの実をつけてくれますよ。
良く育っていれば1kg以上収穫できることも。
山椒は捨てるところがありません。
5月初旬ごろには花山椒。
5月末~6月末にかけては山椒の実。
7月8月に完熟した実は粉山椒として。
山椒の実は青いうちに収穫すると山椒の実として楽しめます。
赤黒くなって完熟した実はそのまま食べることはできませんが、5~6日陰干しすると実が裂けて種子の果皮とに分かれるので、果皮の方をすり潰せば粉山椒になりますよ。
山椒の虫害
山椒の育て方は難易度がとても高いと思うのですが、なかにはほかの植物より簡単だと言われることもあります。
というのは山椒は他の植物に比べてとても虫害が少ないからです。
とはいっても全くないわけではありません。
唯一気を付けなければいけないのが「アゲハ蝶の幼虫」です。
農家さんの中にはアゲハ蝶の幼虫によって山椒が全滅したという話もあります。
4月ごろになるといつの間にか葉の裏にくっついてたりするので放置せずに、取り除きましょう。
屋内に避難させるのも手です。
最後に
山椒の育て方はなかなか難しいですが、きちんと準備をして最初の1年を乗り切ればあとは比較的簡単に管理することができます。
安定さえすれば長くて20年~30年ほど実をつけてくれるので長く楽しむことができます。
収穫でき過ぎて困ってるよ~~!
という方は保存方法についても記事にしているのでこちらをご覧ください↓